溺愛フレグランス



「その根拠は?」

私の面倒くさい質問に、朔太郎は萎えた顔をする。
私は朔太郎の答えをのんびりと待った。簡単なようで難しい質問だと思うから。

「根拠は…
俺の大好きな晴美の匂いかな」

私はしかめっ面で朔太郎を見る。

「また、匂い?」
「そう、匂い。
匂いってすごいぞ。だって、俺の脳にも体にも心にも浸み込んでる。
この匂いは晴美の全てなんだ。
美憂の匂いとか全然覚えてない。多分、何かの香水とか使ってたのかもしれないけど、そんなの全く記憶にない。
久しぶりに晴美に会って、子供の頃から抱いていた晴美を想う気持ちがどんどん蘇ってきて、大人になった俺の中でそれは完全に満杯になった。
美憂との結婚生活は、俺の中でずっと何かが物足りなかったんだと思う。
上手くは言えないけど、結局は何も後に残らない好きっていう軽い気持ちというか。
晴美は…
好きとかそういうものを超えてる気がする。
俺の魂の片割れみたいな?
だから、俺は全てで晴美を愛してるし、晴美も俺を愛してるんだ」
「もう、何でそこでいつもセットなのよ…」

そう言いながら、朔太郎の言葉に理解を示している自分がいる。
そんな中、友和さんの顔がふと浮かんできた。
友和さんに抱いていたときめきは一体何だったのだろう。