溺愛フレグランス



私は泣きたくもないのに、涙が溢れてくる。
マッチングアプリは悪いものではない。
でも、こういう危険性を含んでいる事を身をもって知った。いや、危険な事とは違うのかもしれない。ただ、友和さんが犬好きだと偽っていただけなのだから。
でも、今の私は、ただ朔太郎に甘えていたかった。
それは私の本能がそう求めている。

「もう、泣くなよ…
せっかく、眼帯を変えたのに、またびちょびちょになっちゃうだろ」

朔太郎の言いたい事は分かるけれど、それでも涙が止まらない。
そんな私を見かねて、朔太郎は眼帯を外し始めた。

「とりあえず家の中だし、眼帯は取った方がいいよ。
目をこすらないように注意して。
ガーゼの中が涙でぐちゅぐちゅになる方が不衛生だから」

びちょびちょとかぐちゅぐちゅとか、そんなに私は泣いてない。
でも、そう言い返す気力もなかった。
朔太郎は上手に眼帯を外し、私の目の回りを消毒液を含ませたコットンで優しく拭き終わると、OKと小さく頷いた。
私は何だかすごくホッとしている。