溺愛フレグランス



「じゃ、あいつとはもう会うな。
絶対に、何があっても」

私は、もうこれ以上、友和さんとお付き合いを続ける気はさらさらない。
でも、付き合う事をやめるにしても、一度はちゃんと会わなきゃいけないと思っている。

「ううん、別れるならちゃんと会って伝えたい。
どうしてそんな噓をついたのかその理由も聞きたいし、昨日の手術代のお金だって友和さんが立て替えてくれたからちゃんと返したいし」
「だめだ、会うな」

私はわざとらしくため息をつく。

「大丈夫だから… お金を返すだけだよ…」

私はそう言って、ソファから立ち上がる。
窓の近くへ行き、そこに映る自分の顔を覗き込んだ。朔太郎が変えてくれた新しい眼帯が真っ白に輝いて見える。
私はポケットに忍ばせているスマホの点滅に気付いた。
友和さんからの着信に違いない。今日だけで五回以上の着信が入っている。
私はもう帰ろうと思った。
これ以上、ここに居てもお互い気まずくなるだけだから。

「朔、私、帰るね…
今日はありがとう、村井さん達の飲み会に付き合ってくれて…」