溺愛フレグランス



私は小さく頷いた。病院でもらった替えのキットをそのままバッグに入れている。
朔太郎はそっと眼帯を外し、そして涙で湿ったガーゼも一息に取り外した。

「ちょっと待ってて」

朔太郎はどこからか救急箱を待ってくると、消毒液を脱脂綿に含ませる。

「目の回りをちょっと拭くだけから…」

朔太郎はすごく繊細だった。私は傷に触れている事すら分からない。優しく丁寧に消毒をしてくれた。

「傷よりもこの青あざみたいになってるのがすごく気になる…」

すごく近いところにある朔太郎の顔は、怒りで歪んでいる。
その怒りの矛先は友和さんに違いない。
私は自分の顔を鏡で見る事はやめた。見たところでショックだけが大きくなるだけだから。
朔太郎は傷を負った私の目に清潔なガーゼを当てて眼帯をすると、力強く包み込むように私を抱きしめた。

「晴美…
あいつの連絡先を俺に教えて…」

私はその言葉に体がわずかに震えた。

「何で…?
朔太郎には関係ないよ…」

友和さんから聞いた話が偽りだったとしても、それは朔太郎には関係ない。