朔太郎は淡々と聞いてくる。でも、耳元に聞こえる朔太郎の心臓の音は激しいほどに高鳴っていた。
「私、怖くなって車から飛び出した…
でも、すぐに友和さんが追ってきて、腕を掴まれた…
本当に怖くて体を揺さぶって友和さんから逃れようとして、その弾みで肩にかけてたバッグの角がすごい勢いで左目に飛んできた。
だから、そうなの…
このケガを友和さんのせいじゃない。
私がした事なの…」
朔太郎は抱きしめていた私の体を少しだけ離した。
朔太郎の表情はよく分からないけれど、でも、私の髪をかき上げる指先がわなわな震えている。朔太郎はまるで気持ちを落ち着かせるように軽く息を吐いた。
「眼帯外して、ちゃんと俺に見せて。
どっちみち涙でぐちゃぐちゃだから取り替えないとだろ?」
私は力なくため息をつく。
実は、私もまだこの傷をちゃんと見ていない。
眼帯の下は左目を覆うガーゼがテープで貼られていて、そのガーゼの中の傷を見る勇気を持ち合わせていなかった。
朔太郎は、私の承諾も得ずに眼帯に手を伸ばす。
「替えのガーゼは持ってる?」



