タクシー乗り場に着くと、タクシー待ちの人の列ができている。
その列に、村井さん、石田さん、私達の順で並んだ。村井さんが先に抜け、次に石田さんの番がくる。
「晴美ちゃん、また火曜日ね」
私は屈託のない石田さんの笑顔に癒されながら、思いっきり手を振った。
隣にいる朔太郎の事は完全に無視をして。
石田さんを見送った後、一分もしない内にタクシーが来た。私と朔太郎は無言で乗り込む。
タクシーの中は、二人の沈黙のせいで息苦しくてしょうがなかった。
タクシーは朔太郎の家の前に停まる。
クレジットカードで支払いを済ませた朔太郎は、タクシーから出るとすぐに私の手を取り自分の家に入ろうとする。
「朔、もうこんな遅い時間だよ。
おじちゃんとおばちゃんに迷惑をかけるから、お邪魔できないよ」
朔太郎の実家は、お父さんが建築家ということですごくお洒落な家だった。
コンクリートの要塞のように、外壁が高く中の様子をうかがえない。でも、子供の頃の記憶では、そんな外側だからこそ、中の住まいはオープンで窓が多い明るい家だった。
朔太郎は頑丈なドアの鍵を簡単に開ける。
「大丈夫。今日は親父もおふくろも居ないんだ。
この連休を使って親父の方のじいちゃん家に行ってる」



