「そうだね…
でも、食べるのはいいでしょ?」
私と朔太郎のやり取りを見ていた石田さんは、さりげなく目を背ける。幼なじみ以上の関係を感じ取ったわけじゃないと思うけれど。
「食べるのは全然問題ないはずよ。
その前に、晴美ちゃん、遅れてきたんだから元を取り戻さないと。
時短営業のせいでこのお店、九時で閉まっちゃうみたい。
本当、コロナって嫌だよね」
助け舟を出してくれたのは村井さんだった。
自然の流れで話題もコロナ関連に変わった。村井さんは朔太郎を質問攻めにする。年収だの聞くところが村井さんらしい。
そして、今日の朔太郎はまたいつも以上に若々しかった。
厚手のグレーのパーカーに細身のジーンズ、靴はお決まりのVANのスニーカー。学生の頃から好みはほとんど変わらない。
最近の朔太郎は、髪が伸びたせいで前髪をかき上げる仕草が増えた。この癖は朔太郎の魅力の一つらしい。そして、この癖も高校生の時から何も変わっていない。
楽しそうに談笑する皆の中で、私の痛々しい眼帯姿も慣れてきたらしい。
村井さんも石田さんも私の事より、久しぶりに飲んで話せる事を楽しんでいる。



