30歳のクリスマスソング

奴はアタシの手からスマホを取ると
  思い切り手慣れた手つきで
  目にも止まらぬ速さで何かをした。




すると近くで鳴り出す別のスマホ。
   着メロはドリカムの
  『雪のクリスマス』。




「これ俺の番号。いつまでいる?」
「年末まで。」


「明日、クリパしよっか?ね、また明日電話する。」




 スッと立ち上がると颯爽(さっそう)と消えて行った。そう颯爽という言葉が似合う去り方。




  風のような男に呆気に取られる女。




アタシの7日間の『初めての本気の恋』がゆっくりと走り出した。