「あぁ……終わっている」

「そうなの。残念……まぁ、聞かなくても大体は分かったけど」

そう言って、愁は机の上に散らかっている紙を見つめた。その白紙の紙には、『ノーチェ』と書かれている。

(あ、桐生刑事の気になることがあるってあの紙のことか……)

愁はそう思いながら、桐生刑事に目を移す。

「……まじかよ……とりあえず、4人の話をまとめるとだな……胡桃さんは、仕事が休みで死体が発見された時は料理をしていたそうだ。そして、月夜さん、由奈さん、太一さんは颯さんが部屋を出て行った後、皆でゲームや雑談をしていたんだって」

桐生刑事の言葉に愁は「ふぅん……」と言葉を漏らすと、皆の服を観察した。

胡桃の着ている赤黒いシミの付いた鮮やかな赤のワンピース、月夜の着ている所々シミがある黒いパーカー、由奈の着ている白いシャツ、太一の着ている青いシャツ……。

それを見た瞬間、愁は犯人が誰だか分かってしまった。

「……分かった」

愁の呟きに、桐生刑事は「分かって、何がだ?」と首を傾げた。

「犯人」

その言葉に、皆は反応する。

「これは、自殺に見せかけた他殺だ」

「本当なんですか!?」

月夜の驚いた顔に、愁は表情を崩すことなく「うん」と頷いた。

「……今回は、簡単だよ……『ノーチェ』の意味を理解していたら……ね?」