「ふぅん……だったら、何で僕に依頼を?」

「ちょっと気になることがあってな」

「そっか……分かった。じゃあ、行こうか」

愁の言葉に、桐生刑事は立ち上がった。



「亡くなったのは、七瀬 颯(ななせ はやて)さん」

事件現場に着いた愁は、桐生刑事に連れられて風呂場を見た後に彼の部屋へと入る。

「……それで、容疑者は?」

愁の言葉に、桐生刑事はメモ帳を取り出した。

「容疑者は、この4人。友達の3人に、颯さんの母親だ」

「私は、颯の母親の七瀬 胡桃(ななせ くるみ)です」

「彼女は颯さんが小さい頃に旦那を亡くし、1人で颯さんを育てていたそうだ」

胡桃が会釈すると、メモ帳を見つめながら桐生刑事が言う。

「僕は、颯の幼なじみの若森 月夜(わかもり つきや)です。両親に捨てられて、その時に颯に拾ってもらって……それからは、ずっとここで暮らしています」

「……私は雪原 由奈(ゆきはら ゆな)です。颯の恋人」

「俺は、黒沢 太一(くろさわ たいち)。颯と同じクラス」

自己紹介をした後、桐生刑事は愁の肩を叩いた。

「彼は、探偵だ。俺らでは、判断できないから連れてきた」

「どうも。八重桜 愁です」

表情を変えることなく、愁は自己紹介をする。

「……とりあえず、桐生刑事。事情聴取は終わったの?」