全体ではバランスがとれているように見えてその実、まったく違ったという事らしい。
吸収したエネルギーは確かに体内に存在していても、それを全て使いこなせる訳じゃなく、五割から七割程度だったと言う。
方や、負のエネルギーの方は地中で集まり凝縮され、次第に形を成して地上に出てくる。
あっちは元々、エネルギー体であるため人間のように肉体に負担がかかることもなく。暴れたい放題で次々と街が壊滅していくのだとか。
「やべえなそれ」
持ってるエネルギーと使えるエネルギーが違うのに、含有量だけで判断されるのかよ。
「うん。エネルギーが溜まって魔物が現れる間隔も、残されているデータによれば数十年から数年とバラバラだし、特性も統一性がなくて対策を立てるのが難しいって」
プラスエネルギーの方は吸収した人間は一人から数人と規則性がなく、先に述べたように吸収した全てを使いこなせる訳ではないため、複数になればなるほど対抗する力が弱くなる。
「全体のバランスをとられてもねぇ」
アルクは溜息交じりに肩をすくめた。俺はそれに生温い笑みを浮かべる。
ここまで聞けばさすがに嘘とは思えず。ぼんやりとではあるけれど、本当なんだろうと信じている俺がいる。
これが嘘だと思えない何かが、こいつにはあるんだ。ここまで想像で言ってるならむしろ、もの凄い想像力だ。
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