「お……おう。そうか」

 信頼していると言われりゃ嬉しいが、さすがにあの話をすぐに信じられるほど俺は柔軟な性格じゃない。

 かといってアルクの真剣な顔を見れば、嘘だとつっぱねることも出来ない。

「前世の記憶があるなんて、お前が信じられないのは当然だよ」

「いや、そこもだけど。一番はそこじゃないって」

「え?」

「いや、なにそんな驚いた顔してんだ」

 滅びた世界から来たってことの方がびっくりするじゃねえか。

 突拍子もない話ではあれど興味があった俺は、時折アルクが話す世界の事をいつも黙って聞いていた。

 アルクも一人で抱えている事が苦しいときがあるのか、二人きりのときにぽつりぽつりと話してくれる。

 ──人類が滅びた世界から転生してきた幼馴染みは、そこでやり残したことがあるという。

 けれど、それをしたとしても何も変わらない。ただ、結果が知りたかっただけだと。

 人類が滅びて世界の崩壊が始まり、アルクはもう一人の女性と最後の二人になってしまったらしい。

 最後まで生き残ったのは凄いな。