もし、生まれ変わったら──
「「大切な人たちだけの英雄になればいいよ」」
まさか被るとは思わなかった俺は照れくさくて笑ったけれど、アルクの顔は驚きに満ちていた。
「え……」
「え? なに?」
その状況を思い浮かべて口走ってしまったことなのに、そこまでびっくりされるとは思わなかったから俺は顔を引きつらせた。
「ルカが言った言葉だ」
一言一句、違ってない。
「──え?」
ルカって、告白しようとした彼女のことか?
「どうしてお前がそれを知っているんだ?」
いぶかしげに俺を見下ろす。
「いや、えー……と。なんでかな?」
凄い怪しげに見つめてくるが俺だってわからん。
困り果てて頭をかく俺に、
「最後の敵は、六つ目の黄昏と呼んでいた」
「六つ目?」
目を離さない親友の瞳に、俺は全てを思い出す──
END
転(うたて)
1 自分の心情とは関係なく、事態がどんどん進んでいくさま。ますます。 2 事の成り行きが、心に適わないとして嘆くさま。つらく。情けなく。
3 事態が普通でないさま。いやに。異様に。



