転の生-うたてのせい-

「でさ。世界が崩壊する寸前に俺以外の英雄たちが死んで、そのエネルギーが俺に流れてきた訳だけど」

 すでに手遅れだった。

「手遅れ? え、それって──」

「そのときにはもう、二面性は失われていたんだ」

 負のエネルギー体は他の生物の生命エネルギーを吸い取って膨れあがっていた。

「あいつは、俺に見向きもしなくなるくらいに強く、でかくなっていた」

 無機物まで吸い始めて世界が崩壊に向かったんだ。

「俺だけでどうにかなるレベルじゃなくなっていた」

 崩れていく世界を見ながら、残った彼女と向き合った。黒い瞳が俺を見上げて切なく笑う。

 最後に、何か希望を与えたかった。でも、先に彼女が口を開いた。