オ・ランタンの花嫁

あたしがきっぱりそう言うと、男は「ええ〜、ひどいなぁ」と言う。しかし、その顔はケロッとしていて笑っているから心は痛まない。ドMなの？

「ミス・パンプキンって海外で恋人を呼ぶ時に使う言葉の一種なんやで。ほら、ハニーとかベイビーとか聞いたことあるやろ。あれと一緒。それから俺が何者かって言う話やけどーーー」

男はあたしの手を優しく握る。異性と手をつなぐなんて小さい頃以来だからドキッとして「離して！」と手を離そうとするけど、何故か離せなかった。男はあたしに整った顔立ちをグッと近づる。吐息がかかった。

「僕の名前はリオン。将来の旦那さんの名前、ちゃんと覚えてな？僕はジャック・オ・ランタンの化身。普段は魔界に住んでます。魔界に一緒に来てくれへん？」

「はあ！？」

囁くように言われた言葉にあたしはポカンとしてしまう。何そのファンタジー設定。ジャック・オ・ランタンってあれだよね？ハロウィンの日に飾るカボチャでしょ？