オ・ランタンの花嫁

「リオン、わざわざ来てくれたの?」

あたしがそう訊ねると、リオンは抱き締める力を強くする。

「だって、今日はいつもより帰りが遅かったから心配で……」

そんなリオンの優しさが嬉しい。あたしは無意識にリオンの頭を撫でていた。リオンの髪は柔らかくて、どんなお手入れをしているんだろうって思うほど綺麗だ。

「大丈夫だよ?バイト先から家までそんな遠くないし……」

そう言ってもリオンはさらに強くあたしを抱き締める。あたしが思うより心配かけちゃったんだな。でもね、現役の大学生はバイトしないと生活できないんだよ!

「リオン、心配かけてごめん。ほらっ!帰って早くご飯食べようよ。お腹空いた」

あたしはお腹を鳴らしながら言う。今日は忙しくてずっと動き回ってたからなぁ。女の子らしからぬ盛大な音にリオンは「しょうがないなぁ」と言いながら離してくれた。でも手はつながっている。

「今日は頑張ってる奏にご褒美あげます」

「えっ?何々〜?」