あたしの名前は奏(かなで)。音楽の専門学校に通っている一人暮らしの大学生だ。

「暇だなぁ〜……」

土曜日、あたしはため息をつきながらソファに横になっていた。まだ朝の十時になったばかりだ。

マンションの部屋を借りているため、当然家賃や生活費を稼ぐためにバイトはしている。でも今週は土日が何故か休みになっているんだ。

レンタルした映画やドラマはもう見てしまったし、学校の課題も暇な時に限ってない。録画欄に溜まったアニメもとっくに見終わっているし、友達は全員彼氏持ちだから「デートに行くんだ」とはしゃいでた。つまりあたしだけ暇ってこと!

「あ〜あ!あたしにも彼氏がいたらなぁ」

暇な時にLINEしたり一緒にデートしたりできるはずなのに……。一緒にカラオケに行ったりゲームセンターに行ったりともしも彼氏がいたらという想像をしてしまう。

そんな想像をしていると、呼び鈴が鳴り響いた。

「は〜い?」