ーーつまらない。
昴と過ごす日常をそんな風に思っていたのは、"好きが冷めた" からじゃない。
私達の場合は、むしろ逆で。
好きだからこそ、変わらないでいてほしいのに、変わっていかないことが物足りなかった。
さみしかった。
大切なものがみえなくなってしまったのは、それが原因。
お互いがお互いの負担にならないよう、知ってる部分だけでカタチをつくって決めつけて、セーブをして。
必要以上のステレオタイプで、動けない城を築いてしまっていた。
あまえたいこと、わがまま言ってみたいこともたくさんあったはずなのに。
オトナという枠に囚われた、自分達のせい。
そんな、面倒臭いほどに分厚く凝り固まった壁を壊す機会をくれたのは、間違いなく七星と北斗の双子の星。
どこかで見られているような不思議な感覚に頬をゆるませて。
繋いでいた手を少しだけ引いて、昴の顔をみあげた。
2度とほどけないように、しっかりと絡めているそれは、夏の夜に負けずに熱を帯びていた。
3年以上、当たり前にしてきたことが、今日は当たり前じゃない。
「挑戦、してみるか」
返ってくる前向きな眼差しに、これからどんな "私達" に繋がっていくのかドキドキしている。



