「んー。にしても、もう少し捻った考えも必要だよな。指輪も置いてくるし」
家にあるのにと残念がる昴が、 "持つよ" と花束を抱いて、私の手をとった。
指を絡ませながら並んで歩く帰り道は、はじめてじゃないのにトクベツに思う。
「あ、もしかして七星と北斗にいわれた?」
定番とか王道とかを選びがちな昴の言葉にしては、なんだからしくない気がして。
のぞいた横顔の向こうに浮かんだ、2つの顔。
「いや、まぁ…。言われたというか、言い当てられたというか」
言い当てられたということは、プロポーズのことか、マンネリのことか。…どちらにしても。
「からかわれたのよ、たぶん。あの2人いたずら好きだから」
言いながら考えてみると、双子の思惑や策略が感じられるところがちらほら…。
一体どこまで想定して動いていたのか。
まぁでも。
「私達、2人して頭でっかちだから、捻りは取り入れてみてもいいかもね」
大切なことを見失わずに済んだのは、間違いなく七星と北斗のおかげかな。



