「ここじゃ、いや…。ちゃんとベッドが良い…昴…」 ぎゅっと昴の首筋に腕を回すと、ハァと小さなため息が聴こえた。
昴にしがみつきながら、ぎゅっと目を閉じる。
これじゃあ、して欲しいって言ってるのと同じ。恥ずかしい。そんなつもりじゃなかったなんて言って、どこかで期待してたくせに。
梨々花の気持ちを知っていながら、心も体も昴に抱かれたがっている。 何てはしたない女なの。
けれど今日は、昴の気まぐれでも気の迷いでも良い。 意識のある状態で、彼に抱かれたかった。
「可愛い、岬。」
耳元でそう呟くと、昴はお姫様抱っこをして寝室まで私を運ぶ。
「本当に岬は軽いな。 子供みたい…」
「ちっちゃいって馬鹿にしてるんでしょう…?」
「全然手のひらにすっぽりと収まって、本当に可愛い。」
「…子供扱いして…」
腕の中、怒った素振りをして昴を見上げると、にこりと優しい笑みを落とした。
かと思えば、野獣のような目になり私の胸の先端を甘噛みする。 「ひゃあ!」自分の中に、こんな甘い声があったなんて。



