【完】イミテーション・シンデレラ


「ちょっと…あんまり近づかないで…」

「何で?」

眼鏡の奥に隠された、大きな黒目がちの瞳。

これ以上見つめられたら、倒れてしまう! サッと身を退いて、バックの中から昴へのハワイのお土産を取り出す。

ありがとう!そう言ってニコニコして中身を開けると、昴は数秒フリーズしてしまった。
中には木彫りの可愛いぬいぐるみ。

「可愛いでしょう?」

昴は絶対に喜んでくれる。そう思ったのに、顔を背けて笑いを堪えている。
え?!外した?
私的にはすっごく可愛いと思うんだけど。

「岬って時たますっごいずれてるよね」

「はぁ?可愛いでしょう?この手造り感がたまらないでしょう!
それに現地の人は言ってたわ!このぬいぐるみには芸能の神様が宿っていて、仕事がばっちりうまくいくんだって!」

「あははは、そーいう乙女的な事を信じているのも結構ツボなんだけど」

「壺…?これは壺じゃないわ。一応ぬいぐるみなのだけど、ヤマネコみたいよ?」

「そーゆー事じゃねぇよ。岬ってたまに真央の事言えない位天然だよね? あはは、ありがとう。大切にする。岬が一生懸命俺の為に選んでくれたんだろう? それがすごく嬉しいよ」