【完】イミテーション・シンデレラ


「ビール、岬も飲む?
でも岬は本当は苦いの苦手だろうから、甘い酎ハイ買ってあるよ」

だからどこまで用意の良い男…。ってそうじゃなくって!

今日は、家にお邪魔してから昴の車で送って貰うつもりだった。 それは図々しいお願いだったか…。

女の子を大切にする昴ならば、絶対に車で送り届けてくれるものだと勘違いしていた。 仕方がない、今日はタクシーで帰ろう。

昴と私の家はそんなに遠くはない。

「それにしても何時頃帰ろうかしら…」

ぽつりと呟いたら、昴とはきょとんと眼を丸くする。

「何…?」

「帰るの?お酒飲んじゃったよ?」

「そりゃあ…帰るでしょう。」

今日は一応…ハワイのお土産を渡すという名目で家に上がらせてもらっている。
…夜の事、ちょっぴり期待はしちゃってるけれど
それは私の妄想の範囲内だ。

「いいじゃん。今日は泊って行きなよ。明日オフだろ?
俺も珍しく夕方からしか仕事入ってないし、ゆっくり出来るでしょう?
じゃ、俺もお風呂に入って来るよ」