【完】イミテーション・シンデレラ


勿論昴サイズなので、ぶっかぶかである。
服を着ているというより服に着られているって感じだ。

この間は上はティシャツだからそこまで違和感はなかったが、お風呂から上がると昴は顔を横に背けて「ぶっ」と小さく吹き出した。

「何よッ!あんたが用意したんじゃないの」

「いや、可愛い。可愛いよ。岬はちっちゃいもんな?
可愛らしい岬が大きなスウェットを着るのも可愛いけれど、今度君にはピンク色の愛らしいパジャマを買ってあげよう」

それって、私専用?昴の家に置いていいの?

疑問は口にはどうしても出せない。「そんなもの、いらない!」そう突っぱねる事しか出来ない自分にはいい加減うんざりする。

「つーか、何飲んでんの…?」

部屋着のままソファーに座る昴は、コンタクトも外して眼鏡姿だった。

いつものように髪もキチっとセットしていなく、ふわふわのパーマのかかった髪はどこか無造作だ。

そして手には、ビールの缶を握る。