体の芯まで温まる様にシチューは、お母さんに作ってもらうものよりお店で食べる物より美味しく感じた。
きっと昴と一緒に食べているからだと思う。 そして昴が…私の為(?)に作ってくれたからだ。
食べ終わった後、お風呂に入れと促されて渋々入る事になる。 渋々と言いながらも、今夜ベッドで起こる事を想定して、念入りに体を洗う。
この間は記憶にないが、お風呂には入っていない。…あの時私臭かったんじゃないかしら? アイドルが常にフローラルの匂いがするなんて幻想も甚だしい。
汗をかけば汗臭くなるものだ。そう考えればあんな状態で昴とエッチしちゃったなんて、今になって恥ずかしくって穴に入りたい。
けれどこのお風呂場も、お風呂から上がった後の洗面所もそこらかしこに女の匂いがする。
この間も見つけた、昴が絶対に使わないであろうシャンプーやトリートメント。 化粧水や美容液。
隠さないでいるのが、何故か昴らしくない。 それとも私相手に隠す必要もないといった所なのだろうか。 そうだとしたら、昴は私の事全然好きじゃない。
落ち込んで、けれど顔を上げると洗面所には洗い立てのバスタオルと共に、昴のスウェットが上下で用意されていた。 全然昴の考えている事が分からないよ。



