【完】イミテーション・シンデレラ


自分には、真央みたいな特別な才能はないんだ。 いつも通り笑いながらそんな悲しい事を言うから、私は怒ってしまって、真央には真央に、昴には昴にしか出来ない仕事がある!と言った事がある。

その時も言葉はなかったけれど、顔をくしゃくしゃにさせてさっきみたいな笑顔を見せてくれた事があった。

私だって真央の演技は好き。俳優としての誰にも持っていない輝きを知っている。
けれど昴だって、真央に負けない位魅力的な俳優に間違いはないんだから。

「…美味しいわ。すっごく体が温まる」

「そう?良かった。 岬さっきから顔赤くない?熱でもあるんじゃないの?」

そっと身を乗り出して、昴の手のひらがおでこを撫でるように触る。
そんな事されたら、もっと熱が上がる!やめて!
自分の額がじとりと汗をかいているのに、気が付く。

「やっぱりちょっと熱いかも。…体温計あったかなぁ」

そう言っておもむろに立ち上がり、体温計を探し始める昴。

だからどこまで優しいのよ。私は熱なんかない。好きな男に触れられたら、誰だって体は熱くなるものだわ。