え、何その態度。
面白くなさそうに、昴は唇を尖らせてツンと顔を背けた。
私、何かしたっけ?
「昴はいいよなー…相手役、梨々花ちゃんだろ。あいつは不愛想だけど、文句をぐちぐち言ってくるようなタイプではねーし
俺マジで嫌だよー」
「あ!梨々花ちゃんと言えばさっきそこで会ったよ。
後で岬に挨拶に行くんだってちょっとだけ話した」
「梨々花と話したぁ?!」
思わず前のめりになってしまう。
ち、近づけたくなかったのに…。
相手役が梨々花ならば、自動的に会話せざる得ない状況になってしまう。
特に昴は共演者に親切な性格だ。
それに梨々花は絶対に昴のタイプだ。本人だって言っていた。だからこそ近づけたくなかったのに。
「うん。いい子だよね、真央は不愛想だって言うけど、不器用な子なんだよね。
人見知りが激しいので、よろしくお願いしますって丁寧に挨拶してくれたよ。
岬の話をいっぱいしてくれた。 すっごくお世話になった大好きな先輩だって、憧れてるんだって。だから一緒に仕事が出来て嬉しいって言ってたよ」
(嘘をつくな! 私の事邪魔だと思ってたくせに!私がいなくなって自分の時代が来たと思ってる癖に!)
昴が梨々花と話したと聞いただけで、胸やけみたいに胃がムカムカする。
何か、嫌な予感がする。



