「まさか、お前まで…
俺を馬鹿にしにきたのか?」
そして素っ頓狂な事を言い出す。顔はいたって真面目だ。
その場で膝を抱え、泣き真似までする始末だ。
「ひでーよぉー…。西園寺愛歌なんて性悪女とペアなんて絶対に嫌だよー…
あいつ男なみに気が強ぇから、絶対俺に文句言ってくるに違いないだろう?!
俺のメンタルをボロボロにするつもりだ、ここの運営は…。静綺に会いてーよぉ…。」
確かに真央のメンタルは豆腐並だ。ふにゃふにゃで柔らかく、あっという間に崩れていく。 だけど決して運営は意地悪で真央と西園寺愛歌をペアにした訳ではない。
寧ろ喜ぶべきだ。 注目されているふたりのウェディングショー、話題になる事は間違いなしだ。
けれど西園寺愛歌の性格だ。 真央にはずけずけと物を言いそうではある。 嘆く真央を無視して、昴は私の方を向いた。
「どうして真央が楽屋にいるの?」
そこぉ?!
「え。どうしてって…。こいつが勝手に楽屋に来て、さっきからぶーぶー文句言ってるんだけど。
ねぇ、昴からも何とか言ってよ。真央ったら、西園寺とペアが嫌だから、私と交換してくれって運営に言ってくれって言うの。
私にそんな力ないし、困っちゃう」
「ふぅん」



