【完】イミテーション・シンデレラ

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最悪な事態が起こった。それは素直になろうと決めた数日後の話だった。
昴の家には行けていない。

互いのスケジュールを照らし合わせてみても、互いに人気芸能人同士。会えるのは早くても来週になりそうだ。

しかし今はまだそんな事はどうでも良いのだ。


ウェディングコレクションの出演者が集められた。 全員が集まるのは人気芸能人だから不可能だったけれど。

勿論昴や真央の姿もあった。そして梨々花も。 そして、今日ランウェイを一緒に歩くペアが発表されたのだ。

「最悪。死にそう。」

私の楽屋にやって来た真央は、分かりやすく机に顔を伏せて嘆く。
どうしているの?!邪魔くさいんだけど!

はぁーーーーと大袈裟なため息をついて、顔を上げてちらりとこちらに目線を寄せる。
…何か言って欲しそうだ。けれど今は真央の愚痴に付き合える程心穏やかではない。

出演者が記述されている紙をぐしゃりと折り曲げる。 ため息をつきたいのはこっちだ。