【完】イミテーション・シンデレラ


「な、何よッ…」

「昴くんとは仲が良いみたいねぇ~…。真央くんの名前も出したのに、即座に昴くんの事考えていたでしょう」

ぎくり。

これだから付き合いの長いマネージャーって嫌だ。
笹田さんは、私と真央が付き合っていた過去も知っている。

アイドル恋愛禁止を口酸っぱく言うタイプのマネージャーでもなかったし、そこには案外寛容な人だ。

笹田さんのぷっくりとした指が、弄ぶように私の頬をツンツンとする。 顔を真っ赤にさせる私を完璧に面白がっている。

どうしてマネージャーまでSなのよッ!

「昴とはそういう関係じゃないわ!大体昴みたいなタイプは大嫌いだって昔から言ってるでしょう?」

「昴くんかっこいいもんね~…。しかも礼儀も正しいし、モテるのも分かるわぁ~。
私が後20歳若かったらなぁ~…」

笹田さんがもしも20歳若かったとしても、昴とどうにもならない…!
全く旦那も子供いる癖に、何を考えているのやら。

「笹田さんは昴の事が何にも分かっていないのよ。
ああ見えて意地悪なの、すっごく! 絶対にどSだし、人が苦しんでいる姿を見るのが好きなの!」

「ほぉ~…岬は昴くんの事よく知っているのねぇ~」