【完】イミテーション・シンデレラ


文句を言っても仕方がない。
梨々花もキャンディドロップ所属のタレントだ。

この仕事の依頼が本来どちらにきたかは、知らない。私が梨々花のバーターなのか、梨々花が私のバーターなのか。

しかし追い打ちをかけるような事を笹田さんは続けざまに言った。

「本当に豪華でね、グリュッグの大滝昴くんと姫岡真央くんも出演するみたいよ。話題になりそうね。
岬、ふたりと仲が良いでしょう?」

「はぁ?!昴も?!」

やだやだ。そんなの嫌だ。
だって梨々花も出演するんでしょう?

前にも言った通り、梨々花は昴のタイプのど真ん中なのだ。
だから共演は極力避けて頂きたい。 そこまで考えてハッとした。

どうして昴の事ばかり。ふたりを近づけたくないなんて、まるで嫉妬みたいだ。
てか、真央の事頭に一切なかった。

心はぐちゃぐちゃ、それと合わせるようにコロコロと変わる表情に笹田さんは訝し気な表情をしている。

そして何かに気が付いたように、ニヤッと不敵な笑みを見せた。