【完】イミテーション・シンデレラ


現在、私は所属する事務所’キャンディドロップ’に居る。 そして、会議室で横に座るのはマネージャーの笹田(ササダ)さんだ。

ちょっぴり小太りで口うるさい、けれど面倒見の良い女性マネージャー。 私がキャンディドロップに所属してからは、ずっと彼女と二人三脚で芸能界を突っ走って来た。

だから口うるさいけれど恩義は感じている。

「もぉ、せっかくの可愛い顔が台無しよ?
それに少し痩せたんじゃない…?心配だわ…」

「私はちっとも痩せない笹田さんの方が心配だけどね。それじゃあ成人病まっしぐらだし」

「まッ!そんな生意気な口が利けるって事は元気な証拠ね」

こんな憎まれ口が叩けるのも、安心しきっている証拠だ。

そしてこう見えても私はこのキャンディドロップという芸能事務所に所属出来た事を心から幸福だと思っている。

芸能事務所は、ブラックが多い。根っこの部分は昔ながらに真っ黒だったりするから、所属タレントを道具みたいに扱う事務所だって少なくはない。

SARARAはアイドルグループだけど、大所帯でそれぞれにメンバーによっては所属する事務所が違う。

キャンディドロップは昴達が所属するグリュッグエンターテイメントよりは遥か小さな事務所だけど、所属するタレントをとても大切にしている。