唇を離すと、昴は口角を上げて、意地悪な笑みを浮かべた。

「ん?」

「実はここのホテルの最上階も取ってあるんだ」

「そうなの?!」

「だって俺ワイン飲んじゃったし、飲酒運転になっちゃうし帰れないよね?」

「…確かに。 じゃあ、今日は横浜に泊まるの?」

「うん。今欲しい物見つかった。クリスマスプレゼント。
今日は岬に一晩中意地悪したくなっちゃった」

「それって…」

思わず顔を赤らめると、面白そうにやっぱり笑うんだ。 それは不敵な笑み。

「今日は俺のして欲しい事、俺のしたい事、全部お願い聞いてね?」

「~~~ッ!」

にっこりと見せるは悪魔の微笑み。
意地悪で妖艶で、ちょっぴりだけ甘い。

敵わないって分かってて、言ってる。 昴の意地悪は、私にとってとても甘い。そしてそんな昴に抗えない。

そんなの全部分かってる癖に。  意地悪なの…! でも、そんな所も好きよ。


これからもずっとそのままで居て。
皆に優しい昴。 誰にでも公平に愛嬌を振りまく昴。
でも私にだけはちょっぴり特別。 特別に意地悪で特別に少しだけ甘くさせて。