「全然、もっと昴の事が好きになりそう。」

そう言えば、今度は顔を隠して頬を赤くさせる。
こういう反応もいつだって新鮮だ。

「不意打ちの好きはやばい…」

静かにそう言って、スマホから流れる音楽を止める。
携帯の時間を見て「そろそろかな」と昴が呟いて、窓の外遠くの海を指さす。

時刻は20時を回った頃だった。 パアンと大きな音が響いて、海の上に花火が上がっている。
色とりどりの光を纏った、冬の花火。

イルミネーションの上に、無数の光が流れ落ちていく。

思わず立ち上がって、窓に手を充ててその光栄に見惚れる。

「綺麗ッ!す、すっごーい!
何これ、すごくない?!昴!」

テーブルに頬杖をつきながら、満足気に笑う。 …知ってたわね。 知っていながら、花火が落ち着いて見える絶好のポイントを用意していたわね。

やっぱり、抜け目がない昴には敵わない。 

窓から、花火に見惚れていると昴は立ち上がり私を後ろからゆっくりと抱きしめた。

抱きしめたかと思えば、首筋を冷たい金属音の感触が肌を伝う。それと同時に温かい昴の指先が混じり合う。