「挑発的な態度…?取ってた?」
「取ってたよ。 ほんっとうに岬は鈍感なんだから。
そんな事にも気が付かずに類くんに良い顔してたから、俺岬を無視したりしてたじゃん。
確かに俺は真央ほど分かりやすくはないけど、好きな子が他の男と仲良くしてたらすごく嫌。
これから先もしも岬がドラマで誰かとキスシーンとかする事になったら、反対する。
反対するか…その相手役俺に代えて貰う」
そういえば、そんな態度を取られていたような…。
その話をしている間昴はずっとふてくされた顔をしていた。
…何だ、昴だって同じだ。 私と同じ気持ちで居てくれている。不安になる事はない。
私はずっと真央みたいに分かりやすく自分の感情が表に出るタイプの人間が好きだった。
分かりやすいから、嘘が見えない。
その点では昴はすごく分かりにくい人間だと思っていた。
でもこうやって見れば、昴も真央も大した変わりはないのかもしれない。 普通の男の子なのかもしれない。
思わずくすりと笑うと、昴は目を丸くして「何だよ、俺がこういう奴で幻滅した?」とつまらなそうに言った。



