「大体昴だって…付き合ってるならそう言ってくれればいいのに。
恋人同士つってもいつも通りだったじゃん」
「付き合ったからと言って何を変えるのかがよくわからん。 ただエッチするようになっただけじゃん」
「だからそういう事、口に出して言わないでよッ。
それに昴は無神経なのよ! 真央の事言えない位ね!
お風呂場にも洗面所にも女の影あったもん! あんなんじゃあセフレにされたと思っても仕方がないじゃん!」
ずっとその事でモヤモヤしてた。 けれど次の瞬間、ベッドから立ち上がり昴は焦った声を出して謝った。
「ご、ごめん…。俺、そのまんまにしてた?
うわあー…すっげぇ無神経な奴じゃん。 全然気にしていなかった。
確かにそれ、元カノの物だわ…」
珍しく項垂れて、申し訳なさそうにこちらへ頭を下げる。
焦った顔も、項垂れる仕草も、私にとっては新鮮。
私の中の昴って完璧人間。 誰にでも愛想が良くって、どこか余裕。 少しだけ人間らしくない。 でも、本当は知ってるんだ。 昴には昴の悩みがあって、抱えているものがあるって事。
その全てを包み込んであげられるような、温かい人間になりたい。



