笑っていたのに途端に無表情になって、ジーっと昴が顔を覗き込む。
近い近い近い。
黙り込んだかと思えば、唇を尖らせてふいっと顔を逸らしてしまう。
「そんなに、真央ばかり褒めないでよ」
「へ?そんなつもりじゃあ…! 昴も超かっこよかったよ?!
私この世で白いタキシードがあんなに似合う人は昴か王子様だけだと思うもん!」
「ふーん…」
なおも、昴は顔を逸らしたままだった。 その態度にムッとして、思わず昴のふわふわの髪の毛を引っ張る。
「ふーんって何よッ。ふーんって!人がせっかく素直に褒めてるのに~ッ!」
こっちを向かせて、昴の顔を見た瞬間驚いてしまう。
片手で顔を覆い、覆われた顔は見た事もないくらい赤い。
そんな顔、いつもの余裕たっぷりの昴らしくない。 …お酒の飲み過ぎなの? 私は飲んでないわ。
だって酔っぱらってまた肝心な言葉を忘れたくないから。 自分の言った事をきちんと受け止めたいから。



