―――――
ウェディングショーラスト。 出演者が集まり、フィナーレを迎える。 おでこの傷は大した事がなかった。医務室で手当てをしてもらい、傷も残らないと言われた。
中央に居た類くんファンの女の子たちはバツの悪そうな顔をして、ステージ上を見上げていた。 警備員の人に追い出さないようにと頼んだのは、私だ。
だってあの子達の気持ちも分かる。大好きな人が、自分以外の誰かに優しくしてたら女の子ならヤキモチ妬いちゃうよ。
私だって普通の女の子で、好きな人が自分以外に優しくしてたらつまんない気持ちになったり、傷つく。それと同じだよね。 笑顔のまま、彼女たちにピースサインを送った。
「あの子達、もしかしたら岬ちゃんのファンになっちゃうかも」
ステージ上、隣にいた類くんがぼそりと呟いた。
「何で?」
「だって俺より性格男前だし。
正直ステージ上であんな事起こって、俺茫然として立ち尽くしたままだもん。
怪我してる岬ちゃんの方が俺の手を引っ張って、ステージを全うしてた。」
「あは、あの時は必死で。ただただこのステージを壊したくないって。
そうなったら、あの子達だって浮かばれないじゃんかね。ただただ類くんを好きなだけなのに…」



