「み、岬ちゃん…ごめ…ごめん…」
「ちょっと…類くん泣かないでよ…。全然平気だし。あの子達の気持ちも分かるし、気にしないでよ。」
「でも俺…俺…どうしたら…岬ちゃんの可愛い顔に傷が…」
「こんなん平気だよッ。すぐに治るって!」
何故か私が慰める形になってしまう。
スタッフさんや笹田さんに寄り添われて、傷の手当てをしに医務室に向かおうとした瞬間、だった。
人波に揉まれて、こちらへ駆け寄って来る真っ白のタキシード姿の昴の姿。
その姿にいつもの余裕はない。 汗を掻いて、えらく慌てた顔をしている。 その姿を見つけた瞬間、引っ込んだはずの涙が再びと視界を滲ませる。
「すば、すばる…」
昴の後ろに梨々花の姿も見えたけれど、それさえも構わずに昴へと手を伸ばす。
その瞬間ふわりと視界が揺れて、涙がぽろりと落ちた。
何も言わずに昴が私を抱きかかえ、「医務室に連れて行きます」と笹田さんへと言った。 有無を言わせないその言い方に、取り囲んでいたスタッフさん達が道を開けた。
昴の首に腕を回し、その胸の中子供のように泣きじゃくった。 こうやっていつも1番に助けてくれたのは、昴だったね。 昴が居てくれたから、いつも頑張ろうって思えたの。



