【完】イミテーション・シンデレラ


ステージ上に居る時は平気だったのに、途端に手足が震えだして止まらなかった。

怖かった。 あんな姿を人に晒すのも、自分を憎む人が居る事も、類くんのファンをこうやって傷つけてしまう事も全部が怖かった。

「岬ちゃん!本当にごめん…。俺のファンのせいで…」

類くんや周りの言葉も耳に入らずに、ただただその場に座り込み声を上げて子供のように泣いた。

「ぶえ、ぶえええええええええ…ん。
怖かったよぉ…ひっく。う、ひっく…。痛かった…。
うぇえええええええん。」

ポンっと肩を叩かれて振り返ると、そこにはニッと笑う真央の姿がある。 横には西園寺さんの姿もあり

真央は片手の拳をこちらへ突き出して、「さすが、南条岬。立派」と言った。

「あんたも南条さんの度胸少しは見習った方がいいんじゃない?」隣で呆れたように真央へと哀れみの瞳を送る西園寺さん。