【完】イミテーション・シンデレラ


どうせ泣いてこのステージから引っ込んでも、笑ってこの場をやり過ぎしてもどっちにしても叩かれる。

それならば、笑っていた方が綺麗だと思う。 目を瞑り小さく深呼吸をして、真っ直ぐとステージに向かって顔を上げる。

目の前にあるカメラは、私達が中央に来た瞬間アップで抜かれる。 カメラに向かって、とびっきりの笑顔を向ける。 それに合わせるかの様に類くんも笑った。


私達のその態度に、騒ぎ始めていた客席はシンと静まり返る。

胸を張れ。 気にするな。 私が見せたかったステージは泣いたり悲しんだりしている姿ではない。そんな物にお客さんはお金を払わない。

スポットライトの下、類くんと頭を下げ来た道を戻ろうとするとその日一番の歓声がステージ上響き渡る。


ステージ袖まで戻ると、やり切った そう思った瞬間ぺたりと力が抜けてその場に座り込む。

スタッフさん達に囲まれて、その中には笹田さんの姿もあって、心配そうにかけよる彼女を見てうっかりと涙腺が緩んでしまった。

「岬ッ!大丈夫!?」
「おい、誰かすぐ医務室に!」