ふたりは手を繋ぎ、笑顔を見せあいランウェイの上を仲良さげに歩いていた。

梨々花の真っ白のシンプルなウェディングドレスの裾が羽根のようにふわりと揺れる。 昴にリードされながら、幸せそうに笑う。

昴のはにかんだ笑顔がモニターでアップになってきゅっと胸が切ない音を立てる。


ジッとその姿に夢中になっていたら、名前が呼ばれる。
私もそろそろスタンバイをしなくちゃいけない。出番はすぐそこまで迫っている。
ステージ袖、既に類くんの姿はあって、私を見つけると大きく手を振ってこちらへ手招きする。

「緊張しちゃう…!」

口ではそう言っていても、顔は屈託ない笑顔で笑っていて、緊張感が張り詰める空気をどこか楽しんでいるようにも見える。

真央にも爪の垢を煎じて飲ませたいくらいよ。 類くんくらい肝が据わっていたなら、西園寺さんにもあーだーこーだ言われないでしょうよ。

「でも、楽しみだね。 お客さんの熱気がすっごい。
でも大丈夫かな?」

「だ、大丈夫って何が?」

「あれ……」