確かにこれは八つ当たりに近い。
怒られた真央は、頬を膨らませて子供のように不機嫌になる。
昔は、真央の感情表現の豊かな所が好きだった。 なのに今はイライラするばかりだった。
真央は悪くない。完璧な八つ当たりだとは分かっていたけれど、元はと言えば、あんたが類くんと私の写メを撮ったせいじゃん!
怒りが沸々と湧いてくる。 自分が幸せだからって、ちょっと鈍感になってんじゃないの?!
フンッと顔を背けて、バックの中に乱暴に携帯を入れていく。
いつもならば憎まれ口のひとつでも叩き、自分勝手に怒るのだが、私の機嫌が相当悪いのが分かって、真央は焦る。
「岬…何か知らんけど、ごめんって。
そんなに苛々して、生理か?」
こいつ……。頭ぶん殴ってやりたい。 俳優だから、顔は勘弁してあげるわよ。
真央への怒りが頂点に達した瞬間、楽屋の扉は開かれた。
どいつもこいつもノックくらいしなさいよ。
「真央ー…やっぱりここか。 坂上さんが汗だくになって真央を探してたよ」



