「岬ちゃんって、本当に彼氏いないの?」
「う、うん。居ないよ」
「マジでー?絶対いるかと思った。岬ちゃんすっごく可愛いし」
「そんな…。あんまり言われない…。」
「うっそだぁー…。絶対モテるでしょう?」
「本当に…。アイドル時代から全然モテないよ…。
そりゃあファンの人達からは毎日のように好きですって言われていたけれど…。
それにSARARAに居た頃は忙しすぎて恋愛どころじゃなかったし」
「ああー…、確かにこの業界あんまり出会いってないよね?
俺もずっと彼女っていないなあー…。」
「アイドルはファンの皆が恋人だからね」
地味に、口説かれている…?
勘違いならば、いいのだけど。
アイドル同士の恋愛はする気がない。 自分がアイドルという職業をやっていたから、よく分かる。
結構面倒で過激なファンも大勢いる。特に類くんが所属する事務所のファンは、中々に厄介。ガチ恋が多くて有名だ。
私達は夢を売る仕事で、ファンの疑似恋愛の対象。 夢は壊れないから綺麗なままでいられる。
私達は人々の虚像の上で成り立っている。



