「何よ……何撮ってんのよ…」
「おい、こっち向いて立て。」
人の話も聞かずに、携帯のカメラを向ける。 なんつー不躾な男だ。
「勝手に撮らないでよッ」
「るせ、静綺に頼まれてんだ。
岬さんだったら絶対ドレス姿可愛い~とかはしゃいじゃって。
写真撮ってこなかったら殺すって脅されてるんだ、俺は。
お!おーい!一条類!丁度良い!こっちに来い!」
人の話も聞かずに、真央は着替え終わった類くんをこちらへ呼んだ。
類くんのタキシードは、光沢のあるシルバーの物だった。 シンプルだけど、高身長の人ってどうしてこういうフォーマルな衣装が絵になるのだろう。
足、長ッ! それは真央も思っていた事らしく、自分の足と類くんの足を見比べて、口をへの字に曲げた。
「お前…足が長いな…」 ぼそりと呟く。 そして悔しそうな顔をする。ほんっとうに分かりやすい奴だ。
しかしそんな真央を尻目に、類くんは私の方へ駆け寄ってきて頬をほんの僅かに赤らめる。
ジッと見下ろして、ふいっと少しだけ視線をずらす。



