「へぇ、そうなんだ。 良かったね、岬」
「別に。あッ、私そろそろ衣装に着替えないと。」
逃げるようにその場を去る。 昴が、女の子と仲良く話している姿なんて見たくない。
梨々花にしたって、西園寺愛歌にしたって そんなつまらない事でヤキモチを妬いているなんて昴は知らないんでしょうね。
私ばかり昴の行動にいちいち動揺してしまって、惨めだ。
衣装さんにウェディングドレスを着付けしてもらう。
西園寺愛歌と梨々花はスタイルが良いから、真っ白のマーメイドラインのドレスだった。
それに対し、私に用意されていたドレスは、薄ピンクにカラフルなお花のレースがついた子供っぽいドレスだった。
アップにされ横に流された長い髪には、これまたカラフルなお花の髪飾りがついている。
…可愛い。確かに可愛いんだけどさ。
着替え終わって、モニターの前に行くと梨々花と昴がリハーサルをしている。
手を恋人繋ぎに交差させて、微笑み歩くふたりはとてもお似合いで、まるで本当のカップルのように見えた。 ぐさぐさと胸を刺す痛み。
昴の隣で並んで歩きたかったのに…。
パシャっとフラッシュとカメラの音が響いて画面から目を離すと、そこには真央が居て無表情のまま携帯のカメラを構えていた。



