「大滝さーん!」
「梨々花ちゃん、おはよう。 わぁ、ドレスすっごく似合ってる可愛いね。」
こちらにやって来た昴は、1番に梨々花の着ていた真っ白のドレスを褒めた。
ずきりと胸が痛む。 昴が褒め上手なのは分かってるのに、隣で照れくさそうに笑う梨々花の顔を直視出来ない。
ちらりと顔を見上げたら、そこにはいつもと変わらない笑顔。
「岬もおはよう。」
「お、おはよ…。」
笑ってはいたけれど、その笑顔が嘘だって事は何となく分かる。 人前だから笑っているだけで、絶対に怒っている。
その証拠に昴の視線は梨々花にばかりいってる。 梨々花の事ばかり見ないでよッ。絶対に口には出せない言葉は脳裏を巡る。
「大滝さんもタキシードすっごく似合います。…かっこいい…」
「そう?ありがとう。」
「西園寺さんとも仲が良いんですね。私達でも声が掛けずらいオーラなのに…」
「愛歌ちゃん、すっごく良い子だよ。仕事にいつも真剣で厳しい子に見られがちだけど、すっごく真面目。
梨々花ちゃんも話しかけてみればいいのに。
真央とは昔から気が合わないみたいだけどさ」



