「ぜ、全然良いけど…。」
「間近で見るとすっごい可愛いから照れるなぁ。 あ!勿論梨々花ちゃんも可愛いけど。
昔からずっと岬ちゃん推しだから。」
すっごく人懐っこい笑顔を向けてくれる。 こんなイケメンが私のファン?信じられないけど、アイドルやってて良かった。
彼の素直な言葉はくすぐったかったし、真っ直ぐな笑顔は照れくさかった。
「一条さーん!衣装合わせお願いしまーす!」
スタッフさんから声が掛かって、「また後で!」と風のように去って行ってしまう。
スタイルも驚く程良いし、顔も小さい。やっぱり芸能界…。アイドルってかっこいい。
思わず見とれてしまっていると、隣で梨々花が腕で私の体をつつく。
「モッテモテじゃないですかあ、岬さん」
「そ、そんなんじゃないけれど!」
「かっこいいですよねぇ、類くん。今男性アイドルの中で1番勢いあるんじゃないですか?
岬さんと類くんってすっごく絵になるッ」
そ、そっかあー?
でも、ファンって言ってくれるのは素直に嬉しい。
グッズも持っていてくれてるって。 とはいえ、年下だしタイプでは全然ないけど。
私の気持ちを知らずに、西園寺愛歌と話し終えた昴を、梨々花は大きな声で呼んだ。



