「挨拶が遅くなってごめんなさい。
LUNAの一条類です。」
ぺこりと礼儀正しく挨拶をする。 この間の顔合わせに、彼は参加していなかった。 全国でコンサートツアー真っただ中だったという。
ドームクラスを満席にする、人気アイドルだ。忙しくない訳ない。
「南条岬です。何度かLUNAとは共演させていただいてますが話すのは初めてですね。」
「桜川梨々花です…。」
私の後ろ、ちょっと隠れて梨々花が人見知りをする。
どうやら一条さんは人見知りしないタイプらしい。番組で見ていても、無邪気な笑顔を振りまいて全力でアイドルをしている。テレビで観たまんまの人だなぁーとぼんやりと考えていると意外な言葉を口にする。
「岬ちゃんも、梨々花ちゃんも話すのは初めてだよね。
実は俺SARARAっていうか、岬ちゃんの昔からのファンなんです」
「え?!」
「すっごい、岬さん。岬さん有名だもんね」
「だから今回共演出来るって嬉しくって。
てか、一緒に舞台上で歩けるとかマジ嬉しくって。
つーか、マジで岬ちゃん可愛い~。俺実はグッズとか持ってて。
つーかすいません、馴れ馴れしく岬ちゃんなんて呼んじゃって」



