【完】イミテーション・シンデレラ


「岬ちゃんッ」

また名前を呼ばれる。 今人と話してる余裕あんまりないんだけど。

けれど条件反射で笑顔で「は~い」と振り返る。 アイドル時代に染みついた習性というのだろうか。

振り返ると、そこにはこのウェディングコレクションで一緒にランウェイを歩く LUNAの一条類が居た。

歌番組で数回共演経験はある。 けれど話を掛けられたのは、初めてだった。
真央の機嫌はますます悪くなる一方だ。


大手アイドル事務所の人気アイドルグループLUNAは、アイドルでありながら本格的なバンドを組んでおり

バンドも出来て踊って歌える新時代のアイドル現在人気急上昇だ。

その中でも一条さんは、グループいちのイケメンでモデルや俳優などの仕事もこなす。 180センチを超える高身長で、柔らかい雰囲気はどこか昴に似ていた。

真央は、身長にコンプレックスがある。 自分よりほんのちょっぴり身長の高い一条さんを見上げて顔をしかめる。 …なんて心と器が小さな男だ。