【新説】犬鳴村

「亮治さん、焚き火できました。」
「お、そうか。なら交代するぞ。」
「おす。」
「うーさびい…」


 亮治は焚き火の近くで買ってきたビールを開けタバコを(ふか)し始めた。それから1時間後、重低音を響かせながら孝夫とエリが賢治の車でトンネル前の広場に車を停める。


車を降り亮治の方に歩いてきた。
「あいつは?」
「上の方っす。今、洋二たちが見張ってます。」
「孝夫さん、エリさん、お帰りなさい。」
「お疲れ。」

「賢治、お前の車無茶苦茶良かな。あの車俺にくれよ。」
「…」


 賢治はそれにすぐに(こた)えることはできなかった。それが孝夫とエリの感情を逆撫(さかな)でしたことは間違いない。